ストーカー対策5:ストーカーとの対話

ストーカーから接触を求められたときには、対話をするのが有効であるとされています。
何度でもいいますが、これが絶対ではありませんよ!

対話のコツ

いわゆる脅威のある相手との交渉や問題の解決には、イソップ童話『北風と太陽』が有効とされています。
このことは、ストーカー対策の場合にも有用です。

以下の内容は、いわゆるネゴシエーターの交渉技術を、ストーカー対策用にアレンジしたものになります。

  1. 相手を尊重した言葉を用いる
  2. 拒絶の言葉はわかりやすく
  3. 自分が傷ついていることを伝える
  4. 嫌いになってしまうということを伝える

1.相手を尊重した言葉を用いる

あなたが、いくら被害者だからといって、高圧的な態度で強気にガンガン言葉をぶつけてはいけません。

けっして馬鹿にせずに、また、ある程度の親しみをもった言葉を用いてください。
他人行儀な言葉は、見下しているように感じたり馬鹿にしているように感じるので気をつけてください。

よくありがちなのですが、「今の状況がわかってるの?」といったような相手の今の状況を直接見つめなおさせるような発言も、絶対にしてはいけません。
この発言を受けたストーカーは、相手からあきらかに見下されていると思ってしまいますので、話し合いどころか、危険な状態になる可能性が高いです。

2.拒絶の言葉はわかりやすく

あいまいな言葉では、さまざまな解釈ができてしまいます。誤解されないようにわかりやすい言葉で伝えることが必要になります。

3.傷ついていることを伝える

ストーカー行為によって、あなた自身が傷ついていることを、明確に伝えることが必要です。

このことによって、ストーカーは、あなたの状況を知ることができ、また、自分の行為に達成感を得たり、傷つけてしまったことを反省したりします。
よって、ストーカーは、より現状を把握することができ、冷静になりやすくなります。

4.嫌いになってしまうということを伝える

「私はあなたが嫌いになりつつあります。これ以上あなたのことを嫌いにさせないでほしい」

ストーカー行為が続くことによって、嫌いになってしまうということを伝えなければなりません。

実際に嫌いという思いではなく、「むかつく」とか「うっとうしい」とかの感情であっても、「嫌いになってしまう」という言葉に変換して伝えてください。

ストーカー自身を嫌っているのではなくて、これから先もストーキングを続けることを嫌いになると伝えることが肝心です。
このことによって、ストーカーは自分のストーカー行為が否定されたわけではないと感じます。ストーカー行為に意味があったと理解(再認識)し、同時にその行為が相手にとっては、迷惑であったとも理解(再認識)します

この「嫌いになってしまう」という表現では、現在は好意の感情があると思われるため、「今はどう思っているの?」って聞かれた場合には、誤解されないようにする必要があります。
そのときは、特に好きでも嫌いでもないということを伝えたほうが無難です。もし、ストーカーが身近な存在だった場合には、「友だちとは言えないけれどそんな感じ」とあいまいに伝えたほうがよいでしょう。

項目2であいまいはダメって言いましたが、矛盾はしていませんよ。誤解しないように。
これから先の関係に対する拒絶ははっきりと、現在の関係・感情はあいまいに。

実際に対話をするには

連絡はどっちから?

ストーカーから具体的に対話の申し出があった場合は、可能なかぎり同意してください。
どうしても都合が悪い場合には、都合の良い日を改めて連絡する旨を伝えてください。その際には、いつまでに返事をするかを約束してください。ただ、返事を待つことができるのは長くても3日が限度であると覚えておいて下さい。可能なかぎり次の日には、連絡をいれるようにしましょう。

ストーカー側から、それとなくそんな話が出ていた場合とか、以前にそんなこと言ってたけど放置していた場合とかには、あなたからの接触を心がけてください。
あなたからの連絡だけで片がつく場合もあるかもしれませんし、あなたに誠意があると受け取ってもらえるかもしれません。

なぜ、ストーカー側からの要求を飲むのか。
それは、要求を受け入れることによって、ストーカーを全面的に拒絶していたのではない、と思わせるからです。
それから、ストーカー側にもこちらの要求を受け入れてもらいやすくするためです。交渉は対等に行われるものだ、という無意識に働きかける効果があります。

同席者が必要

直接あって話す場合は、二人だけでなく、できるだけ専門家の同席を求めたほうがよいでしょう。専門家として探偵を選ぶ場合は、ストーカー対策の知識や経験がある人を選んでください。経験のない探偵社も数多くあるので、必ず経験のある探偵社を探しましょう。
ただし、その人が徹夜明けで来た場合には注意が必要です。交渉の席に着くのに十分な睡眠をとっていないのは専門家でないおそれがあります。

もちろんながら、あなたも睡眠をしっかりとってください。交渉に臨む際の睡眠は“8時間必要”とされています。

専門家でなく、友人などにお願いする場合があるかもしれませんが、その時の同席者はあなたと同性にしてください。また、危険がある旨を告げておいてください。そして、同席する第三者は常に冷静でいること、二人の対話に入らないことを心がけてください
同席者が同性である理由は、仮に異性である場合、ストーカーが勘違いをして(新しい)恋人だと思うことをさけるためです。邪推の余地がない状態が良いのです。

女性だけで心配な場合には、男性の助っ人を準備することは構いませんが、その存在を分からないようにしなければなりません。
例えばお店で対話する場合には、同じ店内の少しだけ離れた席でいつでも動けるようにするのが理想ですが、いざという時以外は絶対にバレないようにする必要があります。

そして、ストーカー側にも同席者をつけるようにお願いすることが肝心です。あくまでも同じ立場で対話をする意思を見せることが重要だからです。ストーカー側は一人で現れるかもしれませんが、それでも、それは本人の意思によって選択した結果なので、特に大きな支障にはなりません。

場所は?

対話する場所ですが、ストーカー側が場所を指定した場合は、できるだけそれに従ったほうがよいでしょう。
ただ、その場所が密室(第三者の出入りがない場所)ならば、ストーカーがそこを指定したという確実な証拠を用意する必要があります。

その証拠を用意できない場合やストーカー側が指定しない場合、こちらで場所を指定するようにします。
その際には密室を避け、ファミレスや喫茶店など、第三者の出入りがあり、ストーカーが用意に席を外せる場所を選んでください。

これは、軟禁状態での交渉であった、と後で訴えられることを防ぐためです。また、世間の目によって、双方がある程度冷静さを保つのに有効で、大きなトラブルを防ぐ役目もあります。

座る位置については、窓側を背中にできる場合は、その席を選んでください。そうでない場合には、壁側の席を選んでください(ストーカーには通路を背にするように座らせます)。
また、ストーカーとは真正面で向きあうのではなく、斜めになる位置の席を選ぶようにしてください。

制限時間を設ける

話が長くなったり、堂々巡りになったりする可能性もあります。
また、お互いに打ち解けたと思っても、立ち去るタイミングが難しいかもしれません。

そこで、区切りや幕を引くという意味をもたせるために、あらかじめ対話する時間を決めておいたほうが無難です。

この制限時間にかんしても双方で納得して決めるようにします。
こちら側から一方的に決めつけないようにしてください。

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