尾行の撒き方

ここでいう尾行の撒き方とは、尾行者を特定する(尾行者の存在を確認する)方法ではなく、ただ単に、誰であろうと尾行させない方法です。
おもに徒歩および公共交通機関での移動中の尾行の撒き方です。ただし、明らかに目的地が予測できる場合は、これらの方法を用いても意味がありません

尾行を撒くことも重要ですが、それを行うために尾行者を人気のない場所に誘導してしまう場合がありますので、そうならないように十分ご注意ください。

また、交番に立ち寄るという方法でうまくゆく場合もありますが、「道を尋ねに入った」と偽装できないと、危険なことになるかもしれませんので注意が必要です。

基本

尾行を撒くには以下の4つを組み合わせて行います。

  1. 人混みに紛れる
  2. 曲がり角を利用する
  3. まっすぐ進まない
  4. 出入り口が複数ある構造物を利用する

1.人混みに紛れる

一定の速度で歩きながら集団に入り込み、その後速度を変化させたり、屋内に逃げ込んだりします。

2.曲がり角を利用する

2.1.曲がり角を同じ方向に何度も曲がり同じ道を歩くようにする

これは、警戒していることを暗に告げるための方法だと思ったほうがよいです。土地鑑がない尾行者なら気づかない場合もありますが、その時はその時です。

2.2.曲がり角を曲がったらダッシュする

ある程度の距離をおいて尾行されていた場合に有効なのがこの方法です。

『対象を常に視界に捉えておく』という尾行の基本原則を踏襲すると、対象が曲がり角を曲がった瞬間に尾行者も曲がり角まで走ってくる可能性が高いです。
つまり何もしなければ距離を詰められる可能性が高いので、自分は全速力で走り距離を縮められないようにします。相手が距離を縮めてこない場合には、距離が開くので逃げ切ることができます。

ただし、ずっと走り続けるのではなく、尾行者が走っているだろうと思われる時間だけ走るようにします。
そうはいっても、どれくらいかはわからないでしょうから、テキトウな時間で充分です。
しかし、「なぜ走ったのか?」という疑問を払拭させるために、直前に時計を見て「時間がないので小走りで移動した」というような偽装を計ったほうが良いでしょう。

3.まっすぐ進まない

「誰かにつけられていないか振り返り確認しながら移動するから大丈夫」と思っている人もいることでしょう。たしかに、その姿勢は大事ですが、これで安心するのは大きな間違いです。

尾行というのは後をつけることだけだと誤解していませんか。尾行が連続で行われると考えていませんか。
尾行のプロになると、進行方向を見極めその曲がり角が見渡せる位置を観察し、別の日にその曲がり角を観察できる別に位置に潜み進行方向を確認する、を何日かにわけて実践します。
こんな方法だとなかなか気づけないものです。

プロに尾行されることは少ないでしょうけども、気合を入れて尾行する人はこのような知識を持っている場合がありますので、できるかぎりの対処法を知っておくと良いかもしれません。

3.1.目的地までの最短ルートではなく遠回りを選ぶ

尾行時間が長くなればなるほど、尾行者に隙が生じますので、その瞬間を稼ぐための手段です。

3.2.寄り道をする

目についたコンビニに立ち寄ったり、通りから外れたスーパーのお惣菜コーナーで熟考したりなどして、尾行者の集中力が切れるのを待ちます。
ただし、寄り道をするとはいっても、自分が普段から行く場所を選んでは意味がありません

エレベーターは、用事がなくとも他の階のボタンを押して乗り降りがあったと見せかけることも重要です。
もちろんながら、目的の階で降りずに他の階で降りて階段を利用するような方法を用いたほうが無難です。

3.3.ふらふら歩く

東西に走る道路を通行するときに北側を歩いていたかと思うと、次には南側を歩くといった方法を用います。
尾行者が道路の反対側にいる状況になり、かつ、道路状況を判断して容易に接近できない状況があれば逃げ切る可能性が高くなります。

3.4.地下通路と地上通路を交互に繰り返して進む

これも、警戒していることを暗に告げるための方法だと思ったほうがよいです。
頭の悪い尾行者ならば、途中からどちらか一方の道のみを選択するかもしれませんが、対象が視界から消える状況を許容する者は少ないでしょうから期待しないほうが無難です。

3.5.目的地に行くのに、途中下車して以降の電車やバスを利用する

公共交通機関を利用するときはこの方法が有効です。
電車の場合の下車するタイミングはドアが閉まり始める直前に出るようにすると効果的です。ドアが閉まり始めてから下車するのはドアに挟まる危険がありますので絶対にしてはいけません

テレビでよく見る進行方向と反対方向に乗ってから引き返すような方法は、あらかじめその区間の乗車券を入手しておかないと、キセル(無賃乗車)になりますので、ご注意ください。

4.出入り口が複数ある構造物を利用する

デパートやスーパーなどの大きな商業施設はもちろんのこと、小さな店舗でも複数の出入り口がある場合があるので別の出口から出るようにしましょう。
もちろんながら、屋内まで尾行されていて別の出口から出る場面を目撃されていたら意味はありませんので、その時は別の対応(一旦、店舗から出てまたすぐに入るなど)を考えましょう。

入場制限のある構造物だとより有効です。たとえば、買い物したり鑑賞したりなどの施設利用をせずにすぐに出るような方法です。ただし、尾行者が入場するのを確認した後に実行しないと意味がありません。

一番身近な方法としては、駅の改札を用いることですが、自前に入場券を用意しておく必要があります。その場で入場券を買っても良いのですが、購入する瞬間を見られていたら見破られる可能性があるからです。
現段階においては、ICカードは入場券代わりに使えないということを覚えておいてください。

特殊

特殊な方法としては以下のようなものがあります。

  1. 長距離を高速で移動する
  2. 先払いする
  3. ハプニングを起こす
  4. 影武者を用意する

1.長距離を高速で移動する

とにかく長い距離を早歩きすることです。
早歩きに慣れていない尾行者に有効な手段です。しかしながら、自分が早歩きに慣れていなければ意味がありません。

2.先払いする

飲食店で注文と同時に、または注文品が届いた段階でお金を支払います。
先に支払いを済ませておけば、尾行者の目が離れた隙に逃げ出すことが可能になります。しかしながら、お店によっては断られる場合があります。

これは、普通じゃないことをするため、店員さんなどに印象づけすることができるというメリットがあります。
もちろんながら、先払いが当たり前の店舗でこれをやってもあまり意味はありませんが、テイクアウトの注文をしておきながら店内で飲食するという手段も使えないことはありません。この場合でも印象づけが行えるのと尾行者を出し抜ける可能性はあります。

3.ハプニングを起こす

単純にくつひもを結び直すだとか、忘れ物をしたふりをして今来た道を引き返すだとかといった尾行者を驚かすような方法も有効な場合があります。

また、たとえば、駅の改札で乗り過ごしのため正しく精算ができない(IC乗車カードで入場券利用になると思っていたので精算できない)とか、レジで「買い忘れがあった!」と言って戻ったりとか、他者を巻き込んで印象づけを行うものも有効です。
この方法は、他者の迷惑になるのであまり強くおすすめすることはできませんが、どうしようもない場合にはしかたがないかもしれません。

4.影武者を用意する

同じぐらいの体型の人に同じような格好をしてもらって、尾行者を困惑させます。
しかしながら、影武者がひとりしかいない場合は尾行される確率は単に半分になるだけですので、あまり意味がありません。大量に影武者を用意するのは難しいという問題もあります。また、影武者がストーカー被害にあう場合だってありえますので、これはプロがやったほうが無難です。

この方法はお笑いのネタのように思うかもしれませんが、すでに自宅や学校、勤務先が知られているが、それでもどうしても知られたくない場所に向かうときなどの特殊な事案向けです。

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