やってはいけない - ストーカー対策の解説

対策4:ストーカーにやってはいけないこと

テレビやネット、雑誌や書籍などで、「しつこいストーカーから逃れる方法」などと取り上げられているものを、鵜呑みにしてはいけません。
それらの多くは、引っ越す・電話番号を変える・着信拒否をするなどの方法を挙げていますが、それは間違っています
最悪の場合には、ストーカーに殺されます

なぜそれらを実践していけないのか。
それは、ほんの少数のケースをもとに記述してあるからです。中には数多くの事案を元にしたものもあることでしょうが、私が知る限りでは皆無です。

また、その多くは体験記を伴っていますが、これがクセモノです。

それは、人の体験というものを私たちがむやみやたらに信じこむ傾向にあるからです。誰かが体験して成功したのだから、それが正しいと思い込んでしまうのです。確かに同じような状況であれば、同じやり方で成功するかもしれません。

しかし、その体験は真実なのでしょうか。想像であるとは思いたくはありませんが、事実をもとに脚色して構成していることはありえるのではないのでしょうか。
仮に尾ひれがついた体験記を鵜呑みにして、同じ対処法をしたとして、果たして同じ結果が得られるでしょうか。

ほんのわずかでも最悪の結果が起こりうる可能性があるものに対して、イチかバチかの賭けにでるのは、危険すぎます。

そうは言っても何もやらないのでは元も子もありません。
そこで、すこしでも危険に遭遇する確率が低くなるような情報や考え方を以下に提示いたしますので、参考にしてください。

このサイトでは、実際のストーカー事案の標本数が少ない点、また、個別に対応するには考察が複雑になりすぎる点の二点を考慮し、対策の的を絞り、 恋愛のもつれによるストーカーに関して記述(一部の例外をのぞく)しています。
他のストーカーに関しては、あてはまらないと断定することはできませんが、多少の違いがありますので、あらかじめご了承ください。

4.やってはいけないこと

  1. 接触の断絶
  2. 警察への通報
  3. 嫌われようとする

4.0.別れを考える

ひとそれぞれの考え方は違います。
それにもかかわらず、なぜか、『一方が別れを切り出したら、他方は問答無用でそれを受け入れる』という考え方がアタリマエだとされています。

別れそのものは受け入れなければしょうがないのでしょうが、受け入れるには時間がかかる人がいたり、別れの理由を理解したい人がいたりするのです。

それなのに、『問答無用』の一言で片付けてしまうから問題になるのです。たしかに嫌いになってしまったらすぐに別れたいのはわかりますが、簡単に別れられるという考え方は乱暴です。

4.1.接触の断絶は死を招く

ストーカーとの接触を断つ行為は、絶対にやってはいけません
それは、今までは接触できていたことによって、ある程度の平和な関係が保たれていたと考えられるからです。その関係がなくなってしまえば、ストーカーは新たな関係を作ろうと模索しはじめるかもしれません。

仮に接触を断った場合、すぐに新たな接触方法が見つかれば、また、つきまとい等が行われるかもしれません。
それはそれでやっかいなことですが、新たな接触方法が見つからない場合には、ストレスが溜まってしまって何をしでかすかわかりません。最悪の場合には殺人、という場合だってありえます。

死を招くだなんて大げさだ!と思われるかもしれません。
でも、死んじゃったり、辛うじて助かったとしても傷だらけで生きるよりは、無傷が一番です。そのためには、ストーカーとの接触を断つ行為をしないと覚えてください。

いわゆる、引っ越す・電話番号を変える・着信拒否をするなどの方法でストーカーとの接触を一次的に断つことは可能です。

しかしながら、これで永遠に接触を断つことはできません。
連絡を断たれた側にしてみれば、新しい住所や電話番号を探したり、着信拒否されていない別の電話をつかって通話したりすれば済むだけです。

単に『悪い関係が切れて欲しい』と望んでいるだけで物事がうまくゆくならば、そもそもストーキングなんてされません。

問題を解決するには、なぜ、ストーカーは接触しようとしてきたのか、これを考えなければなりません。

あなたとの関係を修復したいという人もいることでしょう。なぜ、あなたに嫌われているか知りたいと思っている人もいることでしょう。復讐を果たしたい人もいることでしょう。

ストーカーとの関係や状況によっていろいろ違いはあることでしょうが、例え限定的な状況であったとしても、すべての人が同じ考えで同じ行動をとるわけではありませんから、いろんな理由もいろんな行動もあるはずです。

4.1.1.第三者の介入による断絶は極めて危険

第三者によって、連絡手段を断った場合には、危険度が増します。

「二人の仲を切り裂くのはアイツだ」と第三者へ憎しみを募らせることはもちろんのことですが、「自分の話は聞く耳も持たないくせに、なんでアイツの話は聞くんだ?」と怒りを募らせる場合だってありえます。

これは親兄弟であろうが、友だちであろうが変わりはありません。二人の問題を第三者に邪魔をされたことには違いがありませんから。

4.1.2.連絡先が変わることが決まっていたら

電話を変える予定、引っ越す予定が先にあった場合はどうしようもありませんが、ストーカーが顔見知りである場合、または、顔見知りでないストーカーのつきまとい等の行為が激しい場合は、「以前から決まっていた」という事実を何らかの方法で“確実に”伝えるように努力しましょう。
このとき、新しい番号や住所を伝える必要はありませんが、あくまでも、自然の成り行きで連絡が取れない状態になった、という事実を認識させることが重要です。

ストーカーが顔見知りでなく、かつ、つきまとい等の行為が激しくないならば、気にする必要はありません。

4.2.警察への通報は状況を把握してから

4.2.1.通報で解決するのか

そもそものところ、警察へ通報して無事に解決できるでしょうか。

答えはNOです。日本の数値はわかりませんが、アメリカにおいては、警察の中止命令に従う人は30%前後であると言われています。この数値はアメリカのものなので、文化や宗教の違いなどがあり考え方が大きく違うので参考にならないかもしれません。
ただ、私たちがなんとなく感じている『日本は安心』という間違った感覚を持ったとしても、その数値が倍になる(警察の中止命令に従う人が60%になる)とは考えづらく、例えそうであっても、役に立たない可能性が高い、との結論にたどり着いても不思議ではありません。

また、報道の影響で、ストーカーに対して警察は無力だとか役に立たない、との思いが強いのではないかと思いますが、まったくもってそのとおりです。

なぜならば、そこには警察に踏み込める余地がない場合があるからです。これは法律によって制約がかかっていると思ってほぼ間違いないです。注意程度しかできないのです。
警察ができることについては、ストーカー規制法の解説ページストーカー規制法での措置欄に記述してあります。

それでも「注意程度で構わないからお願いしたい」と思う人がいるでしょうけども、これも考えものです。

相手にしてみれば、何もしてないのに警察に叱られたって事になってしまします。

恋愛のもつれによるストーカーというのは、たいてい自分に非があるとは思っていませんし、実際に非があるといえる場合は多くないそうです。

そんな状況ですから、場合によっては、ストーカーは怒りのあまり、当初の目的をかえ、あなたに刃を向けて襲ってくるかもしれません。向けられた刃とあなたの間に都合よく警察が入ることができれば良いのですが、そんなに物事がうまくゆくわけありません。
ですから、ストーカーがいるからといって、すぐに通報だ、というのは考えものです。

ただし、まさに命の危険が迫っている場合には、ただちに警察に通報してください。自分の命を守るということを最優先に考えましょう

4.2.2.通報よりも相談を!

結論としていえるのは、警察には通報というよりは相談という姿勢で臨んだほうが良い、ということです。

怪しい人がつきまとっているだとか、変なモノが送られてくるだとかで不安な場合ならば、警察には相談をしましょう。近所の巡回を強化してもらえたり、アドバイスがもらえるかもしれません。
あらかじめ相談をしておけば、緊急時に迅速的な対応がとれるように手配してもらえる警察署もあります。

相談をするのは、警察署あるいは交番の一方だけではなく、警察署と交番の両方にしたほうがより効果的だという意見があるので参考にしてください。

繰り返しになりますが、まさに命の危険が迫っている場合には、ただちに警察に通報してください。自分の命を守るということを最優先に考えましょう

追記(2013.11.28)
ここでいう通報とは事件化して警察に積極的に動いてもらうという意味で、相談とはあくまでも事件化せずに対処法などの助言をもらうという意味です。

最近では、相談レベルの案件でも警察が積極的に動いているようで、それが裏目に出て悲惨な事件が発生しているように感じています。
(これは私の想像で語っていることなので、個人的な感想だと思ってください。)

警察に相談した場合は、どのような対処をするかをよく聞いて、あなたが納得した場合には、そのように動いてもらってください。
あなたが納得できないと感じた場合はよく話し合って、対処などを決めるようにしましょう。

弁護士や探偵を頼るというのもありですが、ストーカー対策の実力があるかどうかをきちんと見極めてください。

4.3.嫌われようとするのは間違い

ストーカーに嫌われようとすることを目的にした行動を取る人がいますが、これもストーカーの怒りを助長する行為の一つだと理解してください。

たしかに、魅力がなくなったり嫌われたりすると好意の感情がなくなると考えるのは理解できますが、これは一般的に良好な関係のときや、相手をあまり知らない場合に限ります。

嫌われるための行動にはいろいろあるでしょうけども、仮に、ストーカーにとって、自分自身が攻撃されたと思われるような行動であった場合には、まずい事態になってしまいます。

相手が特別なマニアだった場合には、あなたが嫌われようとするための行動そのものを気にいってしまうというマンガみたいな展開だってないとは言い切れません。

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