ストーカー規制法とは - ストーカー対策の解説

ストーカー規制法

この法律は、ストーカー行為等を処罰するなど必要な規制を行うことと、被害者に対する援助などを行うことを目的に、平成12年11月24日に施行されました。
正式名称は、ストーカー行為等の規制等に関する法律と言います。

このページの内容は、弁護士などの専門家からの助言を得るのに代わることを意図するものではありません。
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つきまとい等

この法律は、特定の者に対する恋愛感情などの好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族等に対して行う次の8つの行為を「つきまとい等」と規定し、これに対して警告、禁止命令等の措置を定めています。

  1. つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること。
  2. その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  3. 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
  4. 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  5. 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ若しくはファクシミリ装置を用いて送信すること。
  6. 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
  7. その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  8. その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと。

ストーカー規制法改正案が、2013年6月26日に衆議院本会議で可決、成立しました。
これによって、上記のつきまとい等に、連続して電子メールを送信することが加わりました(2013年7月23日)。

ストーカー行為

この法律は、同一の者に対し「つきまとい等」を反復してすることを「ストーカー行為」と規定し、ストーカー行為を行った者に対する罰則を設けています。

ストーカー規制法での措置

つきまとい等の被害を受けている者の申出を受けてその行為をした者に対してつきまとい等を繰り返してはならないことを警察本部長等が警告することができます。ただし、その行為をした者が繰り返してその行為を行う恐れがある場合に限ります。

さらに、警告に従わない場合には、都道府県公安委員会が禁止命令を行うことができます。
また、ストーカー行為の被害に遭っている場合には、告訴して、警察に検挙を求めることができます。
これらの他にも警察は、被害を受けている者の申出により、被害を自ら防止するための措置や次の援助を行うものとされています。

  1. 申出に係るストーカー行為等をした者に対し、その申出をした者がそのストーカー行為等に係る被害を防止するための交渉(以下「被害防止交渉」という。)を円滑に行うために必要な事項を連絡すること。
  2. 申出に係るストーカー行為等をした者の氏名及び住所その他の連絡先を教示すること。
  3. 被害防止交渉を行う際の心構え、交渉方法その他の被害防止交渉に関する事項について助言すること。
  4. ストーカー行為等に係る被害の防止に関する活動を行っている民間の団体その他の組織がある場合にあっては、その組織を紹介すること。
  5. 被害防止交渉を行う場所として警察施設を利用させること。
  6. 防犯ブザーその他ストーカー行為等に係る被害の防止に資する物品の教示又は貸出しをすること。
  7. 申出に係るストーカー行為等について警告、禁止命令等又は仮の命令を実施したことを明らかにする書面を交付すること。
  8. その他申出に係るストーカー行為等に係る被害を自ら防止するために適当と認める援助を行うこと。

あなたからの申し出がない限り、これらの措置が取られることはありません。大切なことなので注意してください。

ストーカー規制法改正案が、2013年6月26日に衆議院本会議で可決、成立しました。
これによって、ストーカー行為の警告や禁止命令について、被害者の住所地だけではなく、加害者の住所地やストーカー行為が行われた地域を管轄する警察署なども出せるようになるので、警告を出すことがよりスムーズになります(2013年10月3日施行)。
また、警察に対して、加害者に警告を出した場合にはその事実を速やかに被害者に知らせこと、警告しない場合は理由を書面で通知することを義務付けました(2013年10月3日施行)。

罰則

ストーカー規制法に違反した者には罰則が定められています。

おまけ:世界初のストーカー規制法について

カリフォルニア州オレンジ郡で起きた家庭内暴力によって引き起こされた4件の殺人事件(それぞれ別の事件)がきっかけとなったと言われています。

それまでにあった法では、加害者に対し禁止命令を出すことしかできず、被害者を保護できなかったため新たな法が必要であると考えられていたところ、女優レベッカ・シェーファー殺人事件(1989年)が発生し、それを受けて1990年にカリフォルニア州でストーカー規制法が誕生しました。

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